「鈴蘭。 俺と――婚約してくれ」





目の前で、私にひざまずいているフードさん。


私は何が起こっているのかわからなくて、頭の中が混乱していた。


フードさんがこの学園の生徒だったってだけで衝撃なのに、婚約……?


私、と……?


「お前は俺が守る。この命に誓おう」


婚約を申し込むってことは、フードさんは私を……い、いや、きっとそんなはずない。


妹のように可愛がってくれていたし、そこに恋愛感情はなかったと思う。


フードさんが……わから、ない。


「あ、あの……」


「……嫌か?」


私を見つめる赤色の瞳が、不安げに揺れた。


急いで、首を横に振って否定する。


嫌だなんて、そんなはずないっ……。