恋愛☆マニュアル



「これから、どうするの?」

時折、ミャオミャオと鳴き声をあげる仔猫。
お腹が空いているのかもしれない。

「親猫が来るのを待ってみる」
「……来なかったら?」
「うちに連れて帰る」
「ほんと、に…?」
「うん。浮田は帰りなよ。暗くなってきたし」
「そんな…、私も待つよ。ひとりでこんなところに座ってたら、変な目で見られるでしょ?」

二重で切れ長の目を丸くした彼が、仔猫に視線を落とす。
彼の、スッと通った鼻筋と、シャープなフェイスラインが縁取られる。
薄い唇がゆっくりと弧を描くから、心臓がドクンと大きく跳ねた。

思わず目を細めてしまったのは、車のヘッドライトが眩しかったせいだ。


「でも、意外だった」
「え?」
「浮田って、何があっても泣かないと思ってたから」

私に対して、一体どんなイメージを抱いているんだか。

「私だって、泣くときは泣くよ」
「ははは。うん。納得した」