恋愛☆マニュアル



橋の上から下を覗き込んだ彼が、いた、と指をさす。
斜面に生い茂る草の隙間。
小さな白色が、モゾモゾと動いた。

「このまま放っておいたら、落ちちゃうかも」

小さな川ではあるけれど、転げ落ちでもしたら大変だ。


どうしよう、と。
私が口を開くまえに、彼が長い足でガードパイプを跨いだ。

「え、……」

斜面を、仔猫を刺激しないように注意深く下りていく。
ゆっくり、ゆっくりと。そっと、そうっと近づいて。
そして。

「よし。つかまえた」

彼の大きな手のひらに、すっぽりと収まってしまうくらい小さな仔猫。


あぁ……、よかった。


「浮田!」

彼が、橋の上からただ見守ることしかできずにいた私を見上げている。

「な…、なぁに?」
「猫、触れる?」
「うん、平気!」
「じゃあ、受け取って」