恋愛☆マニュアル



「さっきは、ごめん。……驚いたのと、」
「驚いたのと?」
「たぶん、止められなくなる、って思ったから」
「………、」

右手に重なる彼の手に力が加わると、ドクンと跳ねた心臓が動きを速める。
戸惑う私の右手を引くと同時に、もう片方の手を伸ばし、その手を後頭部にまわした彼。

一瞬、なにが起こったのかわからずにいた私の体が、抵抗する間もなく前へと傾くと、机を挟んで腰掛ける彼の顔が、グンと近くなる。

「………え、」

二重で切れ長の目。
バランスよく生え揃った睫毛。
スッと通った鼻筋。
間近に見る彼の唇が、ゆっくりと動く。


「完璧じゃなくていいなら、がまんしない」


そう言って、触れた。




彼の恋が、長続きしないなんて。
もう、思わない。










【完】