耳の後ろをかく彼の、捲り上げたシャツからのぞく腕に目が止まる。
仔猫を助けるときに、生い茂る草でできた切り傷も消えてなくなっていた。
心にできた傷は、そんなに簡単には治らないと思う。
だから、少しでも癒してあげられたら。
絆創膏を貼るみたいに、些細なことでも。なんでも。
なにか、私にできることがあればいいのに。
「ねぇ」
「うん?」
「こだわってるって言ってたけど。具体的には、どんなこと?」
「……え?」
手っ取り早く、彼の言っていた『長続きする方法』を教えてもらおう。
教えてもらって、協力すればいい。
勝ち負けではないけれど。
彼女と過ごした時間よりも、長く。
彼女を想っていた時間よりも、長く。
一緒にいたい。
そうしたら、彼の心の傷を癒してあげられるかもしれないし。
なにより、『最短記録保持者』なんかじゃなくて。私は、その反対がいい。
「あー…、うん」
彼は、手の内を見せたくないのか、答えを渋っている。



