「ごめん。……怒った?」
「べつに」
「……拗ねてる?」
「べつに」
口を真一文字に結んだ彼が、差し込む陽の光に目を細める。
その横顔は、不機嫌そのもの。
つい先ほどチクンと痛んだ胸が、またチクチクと痛み出す。
「……ごめん、ね」
「………」
「ごめん、……なさい」
「………」
それでも彼は黙ったまま。
これじゃあ、いつまで経っても先に進まない。
どうすればいい?
彼は、どうしたいの?
「思ってることがあるなら、はっきり言ってよ」
なるべく感情的にならないようにと、気をつけていたのに。声のボリュームをひとつ上げてしまった。
その微妙な変化に気づいた彼は、結んでいた口を尖らせる。
いやいやいやいや。
それはもう、反則でしょう。
イケメンだから許されるのか。
彼だから許されるのか。
彼のふてくされた顔に、「まいりました」と頭を下げたくなる。



