恋愛☆マニュアル



「ごめん。……怒った?」
「べつに」
「……拗ねてる?」
「べつに」

口を真一文字に結んだ彼が、差し込む陽の光に目を細める。
その横顔は、不機嫌そのもの。

つい先ほどチクンと痛んだ胸が、またチクチクと痛み出す。


「……ごめん、ね」
「………」
「ごめん、……なさい」
「………」

それでも彼は黙ったまま。
これじゃあ、いつまで経っても先に進まない。

どうすればいい?
彼は、どうしたいの?


「思ってることがあるなら、はっきり言ってよ」

なるべく感情的にならないようにと、気をつけていたのに。声のボリュームをひとつ上げてしまった。
その微妙な変化に気づいた彼は、結んでいた口を尖らせる。


いやいやいやいや。
それはもう、反則でしょう。

イケメンだから許されるのか。
彼だから許されるのか。

彼のふてくされた顔に、「まいりました」と頭を下げたくなる。