恋愛☆マニュアル



彼の恋は、いつも長続きしない。

「やっぱりね」って、誰かは笑うだろうし。
「気にしないで」って、慰められたりするかもしれない。
今ならまだ傷は浅い、なんて、余計な言葉も浮かんできて。

私の頭の中は、そんなだったから。


「なんで決めつけんの?」

さっきまで、ひどく傷ついた表情をしていた彼が、眉をひそめている。

「……え、」

「浮田が好きだよ。だから、付き合おうって返事した」

「………、」


彼が、私を好きだと言った。
その言葉を聞いて、頭の中が真っ白になる。


「………私のこと、…す、き、なの?」
「もちろん」
「……え。ちょっ、…ちょっと、待って。だって、全然わからない。だって、そんなの全然、」

伝わってこないから、と口にしてしまって、慌てて手で覆い隠す。
彼は口をきつく結ぶと、窓の外に視線を移してしまった。