彼の恋は、いつも長続きしない。
「やっぱりね」って、誰かは笑うだろうし。
「気にしないで」って、慰められたりするかもしれない。
今ならまだ傷は浅い、なんて、余計な言葉も浮かんできて。
私の頭の中は、そんなだったから。
「なんで決めつけんの?」
さっきまで、ひどく傷ついた表情をしていた彼が、眉をひそめている。
「……え、」
「浮田が好きだよ。だから、付き合おうって返事した」
「………、」
彼が、私を好きだと言った。
その言葉を聞いて、頭の中が真っ白になる。
「………私のこと、…す、き、なの?」
「もちろん」
「……え。ちょっ、…ちょっと、待って。だって、全然わからない。だって、そんなの全然、」
伝わってこないから、と口にしてしまって、慌てて手で覆い隠す。
彼は口をきつく結ぶと、窓の外に視線を移してしまった。



