傾いた太陽の光が差し込む教室。
中途半端に開いた窓から生ぬるい風が吹き込んで、彼の髪を揺らす。
部活動に励む生徒の声も、楽器の音色も。
そのどれもが、彼のための演出なんじゃないかと思えるくらい。
ドラマのワンシーンみたい。
彼を、画面越しに眺めているような、そんな錯覚に陥る。
「ちゃんと考えて、出した答えだよ」
そう言った彼が、ひどく傷ついた表情をして目を伏せた。
胸がチクンと痛んだけれど、言葉をのみ込む理由にはしたくない。
「私は、優心が好きだよ。優心のこと、もっと知りたいと思うから、一緒にいたいの。……だけど、もし優心が、」
彼は優しいから。
ただ単に、断れなかった。
その可能性大、だ。
「私のこと、好きじゃないなら……。同情とか、そういうのだったら、」
ほんとは、いやだけど。
簡単に諦められるとは思わないけど。
彼が「おしまい」と言ったなら、それを受け入れるしかない。



