熱くなる頬。
のどになにかがつかえたみたいに苦しくなった。
弾かれた右手が痛い。
「ごめん」
彼のそれが、大きな塊となって落ちてくる。
さっきまでのふわふわした気持ちは、下敷きになって、あっという間に潰れてしまった。
「べつに」
そう言うだけで精一杯かと思ったけど。
彼に対して思うところはたくさんあって。
どうせ『最短記録保持者』になるのなら、吐き出してスッキリしてしまえばいい。
そう思った。
開き直った、というか。
後悔したくない、というか。
なるべく感情的にならないようにと、先ずは深呼吸をひとつ。
彼を責めるような言葉も、たぶん口に出してしまうだろうけど。
「優心、」
名前を口にすれば、言葉を探していた彼の視線が向けられる。
「付き合おうって、言ってくれたけど。それって、ちゃんと考えて出した答えなんだよね?」



