恋愛☆マニュアル



熱くなる頬。
のどになにかがつかえたみたいに苦しくなった。

弾かれた右手が痛い。


「ごめん」

彼のそれが、大きな塊となって落ちてくる。
さっきまでのふわふわした気持ちは、下敷きになって、あっという間に潰れてしまった。


「べつに」

そう言うだけで精一杯かと思ったけど。

彼に対して思うところはたくさんあって。
どうせ『最短記録保持者』になるのなら、吐き出してスッキリしてしまえばいい。
そう思った。

開き直った、というか。
後悔したくない、というか。

なるべく感情的にならないようにと、先ずは深呼吸をひとつ。
彼を責めるような言葉も、たぶん口に出してしまうだろうけど。


「優心、」

名前を口にすれば、言葉を探していた彼の視線が向けられる。


「付き合おうって、言ってくれたけど。それって、ちゃんと考えて出した答えなんだよね?」