トクントクンからドクドク、へ。
リズムが変わると、指先の痺れが大きくなった。
思うところは、たくさんあって。
けど。こうして触れていると、なにもかもがどうでもよくなってしまう。
彼の優しさに触れたときのように、ふわふわした気持ちになって。
じわりと、奥底から生まれ出てくる新たな感情に戸惑う。
恋に落ちたときも一瞬で。
「好き」が膨らむスピードも、私自身、予測できないくらいの速さだ。
そういえば、私。
彼にまだ、この気持ちを伝えていない。
まだ、彼の気持ちを訊いていない。
ガタンッー…
静かだった教室に響いた大きな音。
彼が飛び起きて。手を、引っ込める。
その拍子に、彼に触れていた私の右手が弾かれた。
「………っ、」
「………あ、」
拒絶されたのだと思った。
これが答えなんだと、そう思った。



