恋愛☆マニュアル



「ごめん。先生に頼まれちゃって。すぐに終わらせるから、待っててもらってもいい?」

彼に断りを入れて、急いで職員室に向かった。
息巻いていたくせに。
こんなときに限って、用事を頼まれてしまうなんて。
しかも。
「話したいことがあるから」と、みんなのいる前で言ってしまったものだから、見学してから帰ろうという人たちもいて。
「そんなの、絶対にあり得ないから」「お願いだから、帰って」って。
クラス全員を教室から追い出すのに手間取ってしまった。


「先生!今日、とーっても大事な用事があって。だから、ダラダラやってる暇はないんです」

頑張って早く終わらせて、彼の待つ教室を目指す。
みんなが素直に帰ってくれていたら、今、教室に残っているのは彼だけだ。



「ごめんね」

教室に戻ったら、真っ先にそう謝ろうと思ったのだけれど。
傾いた太陽の光が差し込む教室で、ひとり待たされていた彼は、机に突っ伏して居眠りをしていた。