「付き合おう」
放課後の教室。
帰り支度をするクラスメイトたちが多く残るなか、彼がそう言い放った。
悲鳴にも近い声が教室じゅうに響いて、驚いた私は彼の手を取り教室を飛び出した。
「みっ…、みんなの前で言わなくても…っ」
渡り廊下を、彼を引きずるようにして歩く。
上の階へと続く踊り場で彼と向き合うと、心臓の動きがより一層速くなった。
「ちょっと考えさせて、って言ってたけど。さっきのは、ちゃんと考えての返事、……だよね?」
「うん」
「そ…、そっか」
なんだか信じられなくて。
考えが、まとまらない。
列に並んだばかりなのに。
横入りしたみたいな、そんな感じになってしまって。
でも。実際には、整理券なんか配られていないから、順番なんてわからないし。
……あ。
そういえば私、くじも引いていない。
チラリと見上げた彼と目が合うと、胸の奥のほうがムズムズした。
「ってことで。よろしく」
首を傾げて微笑む彼。
田舎には似つかわしくないほどのイケメンが。
今日から私の彼氏。
私の、突然の告白から五日後のこと。



