マイと言う不良が、巨大なドアを叩いた。
「失礼します」
そう言ってドアを開ける。
そして後ろの私に言った。
「入れ」
(ああ…終わった…)
高校生活が。
そんな絶望感と共に、私は部屋に入る。
ガラス張りの生徒会室には、数名の生徒がいた。
そして、中央の黒い椅子に誰かが座っていた。
…逆光で顔が見えない。
と、その人物が目の前のソファーを指し示して言った。
「座りなさい」
「…ッ」
大人しくソファーに座る。
続いて、その人物はマイに向かって言った。
「眩しい」
「かしこまりました」
マイが慌てて全てのカーテンを閉める。
ようやく顔が見えた。
ヒュッと息を呑む。
その男は、とても美しかった。
背が高く、手足が長い。
身長は180ぐらいだろうか。
パライドルマリンを連想させる、透明感のある黒髪。
真っ白な肌、整った鼻筋、形の良い唇。
そして何よりも、目が美しかった。
海外の血だろうか?灰色の目は、薄く青みがかっていた。
(あああ!!)
思わずそう言いそうになる。
(私、この人知ってる!!)
…いや当たり前だ。だって全校生徒の前で挨拶をしていたのだから。
そう。
その男は生徒会長だった。