相思相愛

 そう言われた後、みんなが様子を伺いながら出ていき、わたしも数人が出ていくのを確認してから廊下に出た。
「あ、待って!」
 今日聞きた声の中でも一番くらいに入る大きな声が耳に止まった。声を聞いた感じ、さっきの子だといいのが少ししてわかった。
「あの、あなたの名前は?」
 少し長い距離を走ってきた後みたいに膝に手をついて呼吸を整えながら彼女はそう言った。
中野香織(なかのかおる)です」
「香織ちゃんね?わたしはゆな。吉本優菜(よしもとゆな)。同級生何だから、敬語じゃなくてタメでいいんだよ?」
「わか…った?」
 ついつい敬語になりそうになったのをタメ口に直してわたしは首をかしげた。すると優菜ちゃんはニッコリと笑って親指を立ててくれた。
「せっかくだし、途中まで一緒に行こうよ」
「いいよ!行こ」
 高校に入学して初日、早速私には友達ができました。優菜ちゃんは優しそうで面白そうな人。なんだか仲良くできそう。
「ねえ、かっこいい人いた?」
 校門をでて少し歩いたとき不意に優菜ちゃんが聞いてきた。
「まだそこまで見てないよ」
「気になる人とかいなかったの?」
 わたしはそう聞かれたとき、ある一つの名前を思い出した。