葵くん、本当に彼女いるのかな。こういうことあまり言わないほうが良いのかもしれないけれど、意外。私に当たりが強いだけで、他の人には優しかったりするのかな。宗太郎くんと話してるときの葵くんは、私が見たことないくらい笑っていた。
じゃあなんで私にだけあんなにあたりつよいの?葵くんに、なにかしたのかな。知らず知らず何か気に障ることでもしたのかな…。でも、わざわざ嫌いな人と二人三脚のペアを組むかといえば違うような。かんがえれば考えるほどわからなくなってくる。
「気まずいなあ」
帰ったあとのへやでぽつりとつぶやく。
「そっか」
ふと、答えにたどり着いた気がした。葵くんが私に冷たくするのは、彼女に浮気がバレないためなのかもしれない。そうだよね。他の女の子と仲良くしてたら、嫉妬しちゃうもんね。
いやいや。でもまだ完全にそうと決まったわけじゃない。優菜ちゃんのたんなる思い込みの可能性だってある。固定観念に囚われちゃいけない。
「男の子になったんだね」
幼稚園の頃のクラス写真で、私の隣に映る葵くんを見た。いつ見ても、どこからどう見ようと女の子だ。昔は、優しかったのに。彼女ができた瞬間、その子を守るために他の人には優しくしないなんて…。
人を好きになるとか、そういった感情に陷ったことがないからすべてが分かるわけじゃない。恋人を守るために出てくるもの本能みたいなものかもしれない。
「香織いるー?」
玄関の戸が開く音がした。お母さんが帰ってきた。
「どしたのお母さん」
私は部屋を出た。階段を2段ほど残して止まる。
「葵くんとの会食のことなんだけどね。来週の金曜日に行くことになったわ」
来週の金曜日ってことは…?今日が3日で金曜日だから、10日であってるかな。割と直ぐ…。
「そう、なんだ」
「あら、浮かない顔して。もしかして嫌だかしら?」
「んん。そんなことないよ。あ、宿題の続きあるから戻るね」
そのまま返事も聞かずに部屋に戻った。危なかった。別に嫌なわけじゃないけど、つい私も強くあたったりするときもあるし、何より葵くんには。
考えれば考えるほど、用意された状況は絶望的。どう接したら…。もちろん彼女がいるって知らないふりして話すのが最適なんだろうけど、私はそれを隠し通せる気がしない。いっそのこと直接聞く、とか。なんとなくそれもだめな気がする…。どうしよう。こんなにも考え込んでいるのに、開けた窓からはセミの鳴き声。
じゃあなんで私にだけあんなにあたりつよいの?葵くんに、なにかしたのかな。知らず知らず何か気に障ることでもしたのかな…。でも、わざわざ嫌いな人と二人三脚のペアを組むかといえば違うような。かんがえれば考えるほどわからなくなってくる。
「気まずいなあ」
帰ったあとのへやでぽつりとつぶやく。
「そっか」
ふと、答えにたどり着いた気がした。葵くんが私に冷たくするのは、彼女に浮気がバレないためなのかもしれない。そうだよね。他の女の子と仲良くしてたら、嫉妬しちゃうもんね。
いやいや。でもまだ完全にそうと決まったわけじゃない。優菜ちゃんのたんなる思い込みの可能性だってある。固定観念に囚われちゃいけない。
「男の子になったんだね」
幼稚園の頃のクラス写真で、私の隣に映る葵くんを見た。いつ見ても、どこからどう見ようと女の子だ。昔は、優しかったのに。彼女ができた瞬間、その子を守るために他の人には優しくしないなんて…。
人を好きになるとか、そういった感情に陷ったことがないからすべてが分かるわけじゃない。恋人を守るために出てくるもの本能みたいなものかもしれない。
「香織いるー?」
玄関の戸が開く音がした。お母さんが帰ってきた。
「どしたのお母さん」
私は部屋を出た。階段を2段ほど残して止まる。
「葵くんとの会食のことなんだけどね。来週の金曜日に行くことになったわ」
来週の金曜日ってことは…?今日が3日で金曜日だから、10日であってるかな。割と直ぐ…。
「そう、なんだ」
「あら、浮かない顔して。もしかして嫌だかしら?」
「んん。そんなことないよ。あ、宿題の続きあるから戻るね」
そのまま返事も聞かずに部屋に戻った。危なかった。別に嫌なわけじゃないけど、つい私も強くあたったりするときもあるし、何より葵くんには。
考えれば考えるほど、用意された状況は絶望的。どう接したら…。もちろん彼女がいるって知らないふりして話すのが最適なんだろうけど、私はそれを隠し通せる気がしない。いっそのこと直接聞く、とか。なんとなくそれもだめな気がする…。どうしよう。こんなにも考え込んでいるのに、開けた窓からはセミの鳴き声。


