優菜ちゃんらしい種目だなと感心していると、彼女は細く長い人差し指を伸ばして、舌を出していた。
「優菜ちゃん運動できるの?」
「意外?」
「そういうわけじゃないけど」
「中学校のときはリレーとか出てたくらいだし、できる方なんだとは思う」
彼女は一体どこまですごいんだろう。文武両道とはまさに優菜ちゃんのことを言うのかもしれない。そういえば少し前に50メートル走を測ったのを思い出す。その時も優菜ちゃんが早かった。一ヶ月くらい前のことだからもうスッカリ記憶から抜け落ちてしまっていたようだ。
「優菜ちゃん50メートル走早かったよね」
念のため確認をと思い、私は尋ねた。
「まあクラスの中だったら早い方なんじゃないかな?」
正確なタイムまでは覚えていないけれど7秒台だったのはたしかだ。わたしより1秒も早いと驚いた記憶があるから。照れてるのか、人差し指で頬を書いている。少し赤面した表情は、私の思ったことの答え合わせをしてくれたみたいだ。
「女子同士だったら負けないよ!」
今度は自信満々に腰に手を当てて胸を張った。
「ダントツだったもんね」
50メートル走は、二人組を作って走るのだけれど、出席番号の早い順からペアを作る。私と優菜ちゃんは出席番号が離れているから、私達は別々のペアだった。遅いから走るのは恥ずかしかった。最初だからか、みんなペアの域を超えて、仲のいい人と話していた。そのおかげもあって、私の走りは注目を、浴びずに済んだので助かった。
優菜ちゃんが走ったのは私の次の次。私は息を整えてから、優菜ちゃんの走りを見たのだけれど、見る見るうちに隣の子との差を開いていくから、あたしは目を丸くしてそれを見ていた。後で聞いた話だと、私よりも一秒以上早くてそこでまた目を丸くしてしまった。他の女子の走りもみていたけれど優菜ちゃんほど早い人はいないと思う。
「それだけ早かったら、リレーにすればいいんじゃないの?」
「いやー。むかし落としちゃったから」
「そうなの?」
「うん。勝てそうだったけど、私が落としちゃったから、結局その年の体育祭も負けたしね」
「じゃあ、今年は勝とうね!」
少し落ち込み気味になっていたゆなちゃんに、私はそう言葉をかけた。
「そうだね。頑張ろ!」
優菜ちゃんの笑みにつられ、私はまた笑う。
「優菜ちゃん運動できるの?」
「意外?」
「そういうわけじゃないけど」
「中学校のときはリレーとか出てたくらいだし、できる方なんだとは思う」
彼女は一体どこまですごいんだろう。文武両道とはまさに優菜ちゃんのことを言うのかもしれない。そういえば少し前に50メートル走を測ったのを思い出す。その時も優菜ちゃんが早かった。一ヶ月くらい前のことだからもうスッカリ記憶から抜け落ちてしまっていたようだ。
「優菜ちゃん50メートル走早かったよね」
念のため確認をと思い、私は尋ねた。
「まあクラスの中だったら早い方なんじゃないかな?」
正確なタイムまでは覚えていないけれど7秒台だったのはたしかだ。わたしより1秒も早いと驚いた記憶があるから。照れてるのか、人差し指で頬を書いている。少し赤面した表情は、私の思ったことの答え合わせをしてくれたみたいだ。
「女子同士だったら負けないよ!」
今度は自信満々に腰に手を当てて胸を張った。
「ダントツだったもんね」
50メートル走は、二人組を作って走るのだけれど、出席番号の早い順からペアを作る。私と優菜ちゃんは出席番号が離れているから、私達は別々のペアだった。遅いから走るのは恥ずかしかった。最初だからか、みんなペアの域を超えて、仲のいい人と話していた。そのおかげもあって、私の走りは注目を、浴びずに済んだので助かった。
優菜ちゃんが走ったのは私の次の次。私は息を整えてから、優菜ちゃんの走りを見たのだけれど、見る見るうちに隣の子との差を開いていくから、あたしは目を丸くしてそれを見ていた。後で聞いた話だと、私よりも一秒以上早くてそこでまた目を丸くしてしまった。他の女子の走りもみていたけれど優菜ちゃんほど早い人はいないと思う。
「それだけ早かったら、リレーにすればいいんじゃないの?」
「いやー。むかし落としちゃったから」
「そうなの?」
「うん。勝てそうだったけど、私が落としちゃったから、結局その年の体育祭も負けたしね」
「じゃあ、今年は勝とうね!」
少し落ち込み気味になっていたゆなちゃんに、私はそう言葉をかけた。
「そうだね。頑張ろ!」
優菜ちゃんの笑みにつられ、私はまた笑う。


