相思相愛

「よ、よかったー」 
 葵くんがそう言うので少しホッとして、私は微笑で立ち上がる。チラリと界に入った洗濯ものは確かにズボンや、シャツばっかりだった。
「わかってると思うけど、周りの人には絶対内緒にしとけよ」
 少しの沈黙の後、洗濯物を次々と干していく葵くんがそう言った。
 結構洗濯物多いんだ。わたしのほうが少ないかもしれない。大体2日に1回は洗濯してるから、葵くんの家はそれ以上溜め込むのか、それとも使うふくのりょうが多いのかもしれない。
「隣人だってこと」
 私が頭にハテナをうかべたのを感じ取ったようで葵くんは言葉を付け足した。
「なんで?」
「なんでって、変な噂たてられたら困るだろ。勘違いされても困る」
「確かに。……わたしたちのことも言わないほうがいい?」
「言う必要もないだろ」
 それは…どういう意味で捉えればいいのだろう。元々そんな関係なんてなかったから言わなくてもいいってことなのか、そのままの意味か。でも彼にはもう逃げ道がない。お母さんだって挨拶に来たのだ。お母さんが『幼稚園ぶり』って言ってた。葵くんが一緒じゃなかったかのは不思議だけれど。これだけ思っておきながら、わたしはまだ確信できてない。葵くんが認めても、わたしは認めれないような…。
 昔とは流石に変わる。人間は誰だってそうだけれど、葵くんは少し違うような気がする。心のどこかで同名なだけなんじゃないかって思ってしまっている。
「幼なじみでもないんだから」
 葵くんは私の顔を見ることなく部屋に戻っていった。声をかけようとしたときにはもう葵くんの扉は閉まっていた。
 どういうことなの?何が本当なのかもうわからない。葵くんとお母さんの言っていることがまるで違う。わたしはさっきとは違う心で空を見上げる。幸いにも優菜ちゃんは葵くんの話題を私にはほとんどしてきていない。学校では葵くんと距離を置いたほうがいいかもしれない。

「えー、遅くなったんだけども、委員会を決めます。まあちーと時間とるから、考えてみ」
 次の日の1限目、何気に好きな学活の時間、チャイムガ鳴って号令を済ませたあと、先生が腰に手を当てて黒板にチョークを走らせている。
 学級委員、保健委員、文化委員、図書委員、風紀委員の5つが書き出された。
 係は日直で大体仕事ができるとのことらしいから決めるのは委員会のみらしい。
 まあこの中なら図書委員かな〜。本が好きってのもあるし本に囲まれた空間と本の匂いに落ち着ける。内申にも響くだろうし、図書委員にしよ。
「香織ちゃんどれにするの?」
 香織ちゃんがこっちを向いてきた。みんなも優菜ちゃんが声を出したのをスタートにコソコソと会話をし始めた。