次の日の朝、いつもよりも1時間以上早く登校した。

 いつもは学校には8時過ぎぐらいに着くけれど、今はまだ7時前。学校に着いたらまっすぐ旧校舎へ。

 昨日あんなことがあった旧美術室に入るのは、少しドキドキする。

 ドアが閉まっていて、ドアの窓から中を覗くとみんなが吸い込まれた絵の前に何かがあった。

 なんだろう?

 よく見ると、三脚に取り付けられているカメラが置いてある。

「おはよう」
「わっ! びっくりした!」

 中を覗いていると後ろから声がした。振り向くと珠洲島くんがいた。

「驚かしてごめんね」

「こっちこそ驚いちゃってごめんね。珠洲島くん、学校にもういたんだね。早いね!」

「映画に使えるかもだから、みんなが出てくるところも撮ろっかなって思って」

「わぁ、映画のこと考えてくれてるんだね! ありがとう」

「どういたしまして! みんな、いつ出てくるんだろうね」

「うーん……ちょっと先生に聞いてみようかな?」

 スマホで『先生たちはいつ頃こっちに戻って来れそうか分かりますか?』と送った。

 そしたらすぐに返事が来た。

『あと5分ぐらいです』

「珠洲島くん、もう戻ってくるって!」
「そっか、じゃあそろそろ撮り始めるね」
「ありがとう! お願いします」

 珠洲島くんがカメラのファインダーを覗いて撮影を始めた時、昨日みたいに再びまばゆい光が絵の中から!

「ただいま!」

 一番初めに出てきたのは高瀬くん。続いて東条先輩、蓮見くん、先生の順に出てきた。

 みんなが出た後、カメラを止めた珠洲島くんが呟いた。

「なんか、ひとり多く見えた気がした」
「私には4人出てきたように見えたよ」
「そう、だよね……」

 なんだろう、珠洲島くんの言葉がちょっと引っかかった。