「珠洲島くん、起きて?」

 彼の頬を、優しくとんとんすると彼は目覚めた。

「おはよう」

 珠洲島くんは目を擦りながら言った。

「珠洲島くん、今の吸い込まれるところ、写真に撮ったの?」

 座る珠洲島くん。

「写真じゃなくて動画だよ!」
「動画?」
「うん、動画モードで撮ったの。僕ね、こないだ図書館で幽霊見てね、動画に撮ったんだ」
「幽霊?」
「うん。あとで聞いたらそれ、七不思議のひとつだったから、どうせなら七不思議の幽霊全部撮って集めたいなって思って、今ずっと撮ってたの」
「ずっと?」
「うん、いつの間にか寝てたけどね。幽霊の動き何にも予想出来ないからとりあえず動画で撮っとけば、後からいいとこで切り取って写真にも出来るかなって思って」

「動画……ねぇ、これ、映画のシーンに使えない?」
「えっ?」
「ちょっと見せて?」

 さっき珠洲島くんが撮った動画をカメラのモニターで見せてもらった。

 珠洲島くんが眠ったと思われる瞬間は一瞬、がくっと映像がぶれていた。それでも角度とか、全てが完璧だった。

 不思議な絵を見つけたイケメンたちが、絵に吸い込まれてしまって、異世界に行く感じのシーンが撮れた!って、今はそれどころじゃなくて……。

 みんな、大丈夫かな?