今、私たちは教室で過ごしている。猫ちゃんは帰っていった。

 辺りが薄暗くなってきた頃、私のお腹がなった。

「ちょっとお腹すいてきたかも」
「これ、食べる?」

 高瀬くんが餃子カレーパンを鞄から出した。

「餃子カレーパン、初めてみた……」
「本当に? 美味しいよ、食べてみて?」

 パンの袋を開けてくれる高瀬くん。

 くんくん。

 私はパンの匂いをかいでみた。

 カレーの香りと甘いパンの香り、そして餃子のニンニクっぽい香りが合わさり、空腹な私を刺激した。

 一口食べると口の中全体に広がる美味しさ。

「美味しい……」

「みんなもどうぞ」

 高瀬くんが配ったパンをみんなで食べた。みんなが「美味しい」と言いながら食べている。

 高瀬くん…なんでそんなにパン持ち歩いてるの?

 そう思っている時だった。

「今、なんか声聞こえなかった?」

 突然、珠洲島くんが言う。

「声? 本当か?」

 他のみんなは何も聞こえなかった。私も、一切声なんて聞こえていない。

 立ち上がり東条先輩がおそるおそる廊下に出ていくと、みんなもぞろぞろついていく。

 廊下に出ると突き当たりにある元美術室。その中が怪しげに光っていた。 

 そしてドアがちょっと開いていた。