「幽霊?」

「生徒たちが騒ぎになるのもあれだからって、先生たちしか知らない話なんですけどね……」

 先生はちょっと小さな声で話を始めた。

 先生の話によると夜、女の人の幽霊が旧校舎をさまよっているらしい。そして好みの男の子を見つけると異次元に連れ込もうとするとかしないとか。

「連れ込まれた子はもう戻ってこれないんですか?」

「次の日の朝に戻ってくるらしいのですが、とてもやつれて戻ってきて、何があったのかも教えてくれないそうなんです」

「幽霊に口止めされてるか、その話をするのも恐怖すぎるってことか……よし、その幽霊を探して何とかして解決しよう」

「そうだな」

 東条先輩が腕を組みながら言うと高瀬くんも賛同した。

「何とかって、今集まってるのは映画作る話をするからじゃなかったっけ。時間は有限なのに……」

 ぼそっと蓮見くんは呟く。

 そう、私たちは映画を作るために集まった。けど、なんかすごく気になるこの話。異次元に連れ込むのにも何か理由があるかも知れない。

 それに、何か映画に使えるシーンとかが生まれるかもしれない。私は細かいこと考えるの苦手だけど、直感は結構当たる。

「このまま夜を待ちましょう!」

 私がそう言うと、蓮見くんと先生が「えっ?」と言いながらこっちを見た。