「先生! 私、いいアイデアがあります」
「アイデア?」
「はい、今日の出来事を先生は見なかったことにして秘密にしておくんです」
「いや、立場的にそれは…先生それは出来ないです」
「じゃあ、どうすれば……」

「状況を変えればいんじゃないか?」

 そう言ったのは東条先輩だった。

「状況を変える?」

 先生と私は同時に言う。

「だって、立ち入り禁止ってのは、何か理由があってそうなったんだろ? だからその理由を排除すればいんじゃね? 立ち入り禁止の存在をなかったことにすれば……」

 なるほど。ここの旧校舎は特に今すぐ崩れそうだからとかそんな感じではないし、立ち入り禁止なのは何か特別な理由があるのかも。

「言ってる意味がよく分からない」って蓮見くんがぼそり呟いていて。私も『立ち入り禁止の存在をなかったことに』とか意味が分かるような分からないような感じだったけど……とりあえず理由が気になった。

「先生、なんでここは立ち入り禁止なんですか?」

 私は先生に質問してみた。

「実はですね、幽霊が出るらしいんです」