「あいつら、なんで旧校舎入ったんだ? あそこ入ったら一週間停学処分だぞ」

 ぶつぶつ独り言を言いながら蓮見くんは足早に旧校舎に向かっていった。

 私もついていく。

 玄関に入ると、みんなの靴が並べられていて誰もいない。

 私も靴を脱ぎ入ってみる。
 ちょっと古めの旧校舎。立ち入り禁止なわけは、古くて崩れそうだからとかではないような感じ。

 あれ? 誰もいないのかな?

 歩いていると声がしたから、その教室に入ってみた。

 みんなが集まっていた。

「立ち入り禁止だぞ! 入ったこと、報告するからな!」

 蓮見くんはとても怒っている様子だ。

「いいじゃん、内緒にしといて?」

 高瀬くんが人差し指を自分の口に当てながらウインクして言う。

「内緒って……出来な……」

「いやいや、ていうか直月もこの中入ってるじゃん」
「いや、みんなが入ったからついてきただけで……」

 東条先輩が言って、蓮見くんが答える。

 どうやってこの言い合いを止めればいいの?

「まぁまぁ、落ち着いて?」

 そう言いながら珠洲島くんは窓を開け、外に手を伸ばした。

「はいっ!」

 白い猫ちゃんを抱き上げていて、その子を蓮見くんに渡した。

「に、にゃんだっ!?」

 いきなり渡されて驚く蓮見くん。彼はそう言いながら慣れた手つきで猫ちゃんを上手に抱っこした。