ふと部屋が暗いことに気がついた。

 電気をつけようかなって思った時、突然ガタガタと音が聞こえ――。

「何の音? 怖いよ!」

 怖すぎて気がつけば蓮見くんに抱きついちゃっていた。もう、本当に小さい頃から怖い話とかも苦手で……。蓮見くんがここにいてよかったよぉ。

「大丈夫だ。準備室で何か落ちた音だと思う」

 蓮見くんが抱きしめながら背中をぽんぽんとしてくれた。

 なんだか彼のぬくもりを意識すると、胸がギュッと締めつけられた。

「電気ぐらい、つければいいのに」

 そのタイミングで戻ってきた東条先輩が電気をつけた。結城先生を連れて来てくれたみたい。

 慌てて私は蓮見くんから離れる。

「ごめん、みんな。仕事が山積みで……仕事してたら時間過ぎてたんだ。本当にごめん……」

 先生はとても必死に何回も謝っていた。
 私もこんなお願いをしちゃって――。

「こちらこそ、忙しいのにこんなお願いしちゃってごめんなさい」

「いや、いいんだよ! 応援してるから」

 さわやかな笑顔で先生はそう言ってくれた。

 そして私は蓮見くんと、なんとなく目を合わせる。そして一緒に微笑んだ。

 あれ? おかしいな。

 予定では『漫画みたいに、閉じ込められた東条先輩と蓮見くんが仲良くなる予定』だったのに。私と蓮見くんが仲良くなった、気がする?