出演してくれるかな?って思っていた、不安度ランキングナンバーワンだった、東条朝都先輩が出演してくれることになった。

 あとは、風紀委員で同じ学年の蓮見直月くん。

 彼は毎日誰よりも早く登校して、朝、校門前で生徒たちの制服が乱れていないか、挨拶はきちんとしているかなど細かくチェックしている。朝、彼の前を通る時、さりげなく聞いてみようかな?

 そんな感じで朝、頑張って苦手な早起きをして、少し早めに登校した。すでに彼がいる。

「すみません! 蓮見くん、突然ですが、お話があるのですが」

「まずは挨拶!」

 朝イチ、早速彼に注意されてしまった。
「ごめんなさい。おはようございます」
「そう、おはようございます、だ。で、何?」
「あの、映画部を設立したくて。蓮見くんにメンバーになってほしいのですが、あとひとりでメンバーが五人集まるんです!」
「映画部? 目的は何?」
「はい! あの、この学園を盛り上げたくて!」
「あとひとりってことは、部員はもう四人いるってことか? 誰?」
「私と、高瀬帷くんと、珠洲島環くん。そして、東条朝都先輩です」
 東条先輩の名前を出した途端、彼が突然、悪魔に取り憑かれたような怖い表情をした。そして、視線をおもいきりそらされた。

「入部、無理だな」
「えっ? どうしてですか?」
「どうしても何も。東条がいるなら、無理」
 何? ふたりは仲が悪いの?

「取り締まりの邪魔になるから、ここから去りな?」
「は、はい……」

 どうして態度が急変したのかな?

 噂好きないち子なら何か分かるかも。
 私はしょんぼりしながら教室に向かった。