珠洲島くんの次は……。

 東条朝都先輩。
 
 とてもカッコイくて、映画のメイン張れそうな雰囲気がある。映画部に誘ってる男の子たちは全員主役になれそうな程華やかだけどね。でも彼は暴走族の総長で、ちょっと周りから怖がられていて。

 私も正直、話しかけるのが、怖い。

 けれど、彼はとても武士の役とかが似合うと思う。

 まずは、どうやって声をかけようかな?
 3年生のクラスに行って、声をかけるのは、何だか気が引けるな……。

 放課後。学校が終わり、悩みながら外を歩いていると、東条朝都先輩らしき後ろ姿が!

 後ろ姿だけど、イケメンオーラがただよって、ひと目で彼だと分かった。
 歩いて校門を出ていった。

 ――あれ? いつもバイクじゃなかったっけ?

 ちょっとついていってみることにした。
 歩きだけど、家近いのかな?

 ついて行くと、幼稚園にたどり着いた。
 えっ? 幼稚園?

 何故だろうか。彼は幼稚園の中に入っていく。しばらく待っていると、小さい女の子と手を繋ぎながら出てきた。

 えっ? 東条先輩の子供?

 どういう関係かも気になり……。とりあえずそのままついていくと、女の子のリュックに付いていたフワフワの小さなうさぎさんが、落ちた。

「すいません! 何か落としましたよ!」

 私は急いで拾うとふたりを呼び止めた。

「あ、私のうさちゃん!」

 子供が手のひらを出てきたから私はそのうさぎさんを女の子の手のひらに乗せた。

「あ、どーも」

 彼は無愛想な雰囲気でお礼を言った。