高瀬くんが入部してくれそうで安心した。彼は演技のお仕事もしているし、色々教えてくれそう!

 次は、同じクラスの珠洲島環(すずしまたまき)くん。彼は、いつも眠たそうな顔をしている。

 休み時間は大体ひとりでぼんやりと外を見ているか、机に伏せて眠っている。群れずにひとりでも平気なタイプなのかな、多分。

 ちなみに私は、ひとりでいたら周りの視線とか、とても気になっちゃう。

 声をかけるタイミングが分からないまま放課後になり、とりあえず私は、どうしようか迷った結果、バレないように尾行した。

 彼は、ぽやぽやしながら歩いている。

 技術教室棟の3階にある図書室に来た。

 あっ、そっか! 彼は図書委員だ!

 彼はドアを開け、入っていった。
 ドアは開いたままだ。

 音を立てずにあとを追い、風のように私も中に入った。

 彼は一度も後ろを見ず、カウンター席に座った。

 そして……、机に顔をふせ、寝た!

 図書室に入ってから眠るまでの時間、多分、1分ぐらいの出来事。

 休み時間、彼はいつも寝ていて、寝顔もオープンだけど、改めて近くで見ると、寝顔がとても可愛い。まるで子猫みたい。眠るお姫様のようにも見えるなぁ。

 気がつけば私は、彼の寝顔に接近しすぎていた。

 ずっと眺めていると、彼の目がパチッと開いた。そして予想していなかった出来事が!

「おはよ!」

 とても可愛い笑顔でそう言った後、彼は私のほっぺにふわっとキスしてきた。

 !!!!!

 私は後ずさりして、後ろにある本棚に思い切り背中をぶつけた。

「痛っ!!」

 その声で彼は完全に目が覚めたみたい。

「あっ! 猫ちゃんじゃなかった」

 彼は私と猫を勘違いし、私にあんなことを!