「高瀬帷くんのプロフ見てるの?」

 話しかけてきたいち子の声で、妄想していた私は我に返った。

 今は休み時間。ノートを集めて職員室まで届けるように頼まれていたいち子は、それを終わらせて戻ってきた。私の席まで来て、スマホを覗き込んでいる。


「うん。彼、映画部に勧誘したいなって思っていて。いつ声かけようかなって考えていたの」

「なるほど」

「帷くんね、いつもマネージャーが車で迎えに来てくれているらしいよ! 校門を出て、右に少し進んだところでこっそりと待っているらしい。親衛隊が彼を追いかけるのは校門までって暗黙のルールがあるから、声かけるなら、その時が狙い目かも」

 いち子は何でも知っている。
 その情報はいつどうやって手に入れているのかが気になりつつも、物凄くありがたかった。

「教えてくれて、ありがとう!」

 放課後、急いで教えてもらった場所に向かった。

 彼よりも早く車までたどり着かないと、彼は先に帰ってしまう。

 私は急いで教えてくれた場所に向かった。