「ん。」




「へ?」


差し出されたのは、しゅんくんのスマホらしきもの。



画面には、QRコードが表示されていた。




「また連絡することもあるかもしれないし、登録しておいてくれ。」




また有無を言わさない強気な視線。





「わ、わかりました。」




震える手で、自分のスマホをかざす。






なぜか満足そうに微笑むしゅんくん。





登録画面に出てくる『清恵瞬』の文字。





推しとオタクが繋がるなんてどんな世界線。





コンサートでしゅんくんに会うために、頑張っている人たちはたくさんいるのに、私だけこんな思いしていいのだろうかと胸が痛む。




そこらへんにいる地下アイドルとか、駆け出しのアイドルじゃない。




大手芸能事務所の、大スターなのに。




普段はテレビとかの液晶画面でしか見てないから、コンサートで本人が出てきたら生きていることに感動するレベルの人。





…人生は何があるかわからない。