あなたに出会う前に戻れたら良かった。

部屋の窓を開けて、スマホを見ていると
「なぁーりくー早くしろよー」
ん、こうがの声がするような…。
そういえば私とりくってアパート同じだ。
私が3階で、りくが4階。
「はーやーくっ」
ん、湊みたいな声。
部屋の窓から見てみると、湊がいた。
湊の声はっきり初めて聞いた。
話したこと無かったから、湊の声をはっきり聞いたのは初めてかも。
大人っぽい声だな…。

「てか、湊ーここゆづきの家ばい?笑」
「え、まじ?そうなの?」
「うん、確か302号室」

ちょっと待って、なんで知ってる…。
りくが言ったのかな。
にしても号室が分かるのが謎。

ほんとに…。家バレた…。

「てか湊今日どこ行く?」
「公園とかでいいんじゃ?」
「あーね」
「てかほんとにここゆづきも住んでんの?」
「うん、確かそうだったよ」
階段を下る音がする。
「なあーりく、ここゆづきも住んでるよな」
「あー、あいつもここのアパートばい」
「ほらなー湊笑」
「そうなんだ笑笑」

湊って私の事友達の前で ゆづきって呼んでるんだ。てっきり上の名前で呼んでるのかと思ってた。嬉しかった。