結婚して…わがままなことに、どうしても子どもがほしかった。敬一と自分の血を分けた子どもが…… 。エゴだってわかってる。でも、どうしたって私は敬一より先に逝く。独りの寂しさはよくわかってるから…遺してあげたかった。 莫大な治療費をかけ、体外受精の代理母から誠一は生まれてくれた。 色々バッシングも受けた。でも、言いたい人には言わせておく。 この先泡沫のように消える儚い命でも、私達は今幸せなのだから。 「敬一、私を見つけてくれてありがとう……」 涙がひと粒、頬にこぼれ落ちた。