短編集


「…あんたの、命日だからね。夏果」

「うわー、久しぶりに私の名前を呼んだね、遥」



「わっ、私は…」

きれいな瞳から涙が落ちる

その涙にも、彼女の瞳にも、私は写らない。



どうして、だろうね

私は遥が見えるのに、遥には私が見えない



『夏果』

その言葉は大嫌いだ

夏も大嫌いだ


だって、せっかく遥の姿を見れるのに、遥からは私が見えない




辛かった。

私はただ、私の想いを真っ直ぐぶつけただけなのに