ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました

 好きだから彼とそうなりたいと思ったわけじゃない。

 でも、山本先輩に体を触られたとき、言い知れぬ嫌悪感に襲われて気づいた。

 私は、慎一郎さんだから嫌じゃないのだ。

 彼じゃなきゃキスなんてできない。

 私は彼が……。

「コーヒー、桜子も飲むでしょう?」

 美江ちゃんがコーヒーをカップに注いでいる。

「あ、私は麦茶にするから大丈夫」

「へー、コーヒー好きの桜子が」

 そういえば私にしては珍しい。休憩時間には、一年中いつも必ずホットコーヒーを飲んでいるのに。

「最近、なんか胃の調子が悪くてね」

 なんとなくコーヒーが飲みたくないのだ。

 さっぱりしたものを体が欲しがっているというか。

「そっか、さっきみたいなことがあるとね。ストレスに気をつけて」

 美江ちゃんは納得しているが、ふと気づいた。

 そういえば、バタバタしていて忘れていたけれどと、壁のカレンダーを見て、ハッとした。

 生理が随分遅れてる……。