「ポチ、とりあえず公園に行ってみよっか!」

 その布を、机の脇に掛けてあった手提げ袋に突っ込んでいると、

「ギャンギャンッ、ウーーーッ、ギャンギャンッ!」

 ポチが目を三角にして、うるさく吠えだした。

「どうしたの! どこか痛いの?」

 慌ててポチを抱き抱える。

「キャーンッ、キャーンッ……」

 痛いのではなく、何か訴えているようだ。

「どうしたの? 何かあったの?」

 ポチが、私ではなく、入ってきたドアの方を見て怯えている。

 恐る恐る、振り返ってみた。

「えっ……、えーっ……、えぇーーーっ!!」

 もう、もう、驚きの3乗? 3段階? とにかく、最上級だ!

 なんと、昨日の夜、公園で会ったマートという少年が、その、あの、ドアの前に! 私の部屋の中に! 澄ました顔で立っている。
 不自然なシルバーのつなぎではなく、グレーのTシャツにジーンズというごく普通の服装に変わっている。