「ワンワンッ」

 家に辿り着くと、玄関でポチが出迎えてくれた。
 ビー玉みたいな黒い瞳をクリクリさせて、しっぽを大きく振っている。

「ポチ〜、ただいま〜っ」

 全力で、ひとりっ子の私を癒してくれる。ペットではなく、もはや可愛い弟のような存在だ。

 あっ、でも、癒してくれる人は他にもいる。
 うちのおじいちゃんとおばあちゃんだ。
 おじいちゃんは天然で面白いし、おばあちゃんは私の最強の味方だ。

「ただいま〜」

「あら、瑠璃、おかえり〜」

 パートで忙しいママに代わって、おばあちゃんはずっと家に居てくれる。

「買い物に行ってくるけど、何か欲しい物ある?」

「うん、アイス!」

 そう言えば、おばあちゃんは私の好きなアイスを買ってきてくれる。

「じゃあ、行ってくるね」

「うん、行ってらっしゃい」

 玄関の鍵を閉めて、おばあちゃんは出ていった。
 手洗いうがいをしてから、私も二階にある自分の部屋へと上がっていく……。