「でも、やっぱ、マートのことは大人には言わない方がいいな」

 翔ちゃんが深刻な顔で、私を見た。

「大人……。あっ!」

「えっ、何? まさか、誰かに言った?」

「言ったというか、会わせたというか……。実は、うちで夕飯を食べたことがあるの」

「えっ、まじで? じゃ、綾ママも知ってんの?」

「ママどころか、家族全員知ってる……。なんたって、うちの食卓に座ってハンバーグ食べてたから」

「えっ! 全員!! 大丈夫だった?」

「なんとか……。あっ、でも、マートが宇宙人だっていうことは、みんな知らない。ごく普通の外国人だと思ってる」

「そういうことか……」