それからの大学四年間の日々、ワタシは一生懸命「未来」を生きた。

 全く会わずにいたことを後悔させるほどの「イイオンナ」になりたいと思ったからだ。

 そしてワタシは自分の目標を……結構完遂(かんすい)出来た、と思う。

 こればかりは自分では計り切れないけれど。

 ちっとも連絡をくれない元カレみたいなハクアくんに、どうして今でもこんなにも(こだわ)るのか──原因も理由も分からないけれど──その想いは何故だか消え去ることはなかった。

 見返してやりたいと、悔し(まぎ)れに思った訳でもない。

 とても不思議だけれど、とにかく一瞬一瞬を精一杯生きようと思わせてくれる良い(かて)になったのは確かだ。

 だからワタシは感謝こそすれ、ハクアくんに対して恨めしいなんて思ったことはなかった。

 そうしてワタシは満たされた大学時代を終え、再び「此処」に戻って来た。

 そう……ハクアくんの生家。

 四年間誰も居なかったとは思えないほど、今でも隅々まで手入れが行き届いている。

「ハクアくん……いますか?」

 気配は感じられないけれど、玄関扉は施錠されていなかった。

 ワタシは不審がられないように時々呼びかけながら、家の奥へと進んでいった──。