「お見舞いと謝りに来た。俺のせいでごめん…」
申し訳なくて顔を上げることができない。
両手を両膝に乗せて握り拳を作っていると蒼はそんな私の両手に自身の両手を重ねた。
「どうして紅のせいなの?僕がやりたくてやったことなのに」
頭の上から蒼の優しい声が聞こえる。
「むしろ僕は紅を守れたことが嬉しかったんだよ。他でもない僕が紅を守れたんだから。貫かれたのが僕でよかった」
「…よくない。俺がちゃんとしていればそもそもこんなことにはならなかった」
「そうだとしてもこれでいいんだよ」
私の両手に重ねられた蒼の手からじんわりと暖かさが伝わる。
まるで力強く握りしめる私の拳を和らげようとしているみたいだ。
「紅、顔をあげて」
「…」
蒼に優しく言われておずおずと顔を上げる。
すると蒼は本当に優しい瞳で私を見つめていた。
「紅が生きててよかった。僕の判断は正しかったんだ。だからもう謝らないでね、紅」
コツンっと蒼が自身の額を私の額にくっつける。
「…わかった。だけどもう2度とこんなことにならないように俺ちゃんとするから」
「ふふ、紅は今のままで十分だけどね。僕がいるし」
「守護者が守護されているようじゃダメでしょ」
「そんなことない」
蒼と私の額がゆっくりと今度は離れる。
額を離した蒼はどこか愛おしそうに私を見ていた。
何故、そんな目で私を見るの?



