「あのー」
何とか私たちを向こうへ誘おうとする男たちに私は無表情のまま声をかけた。
「俺、男です」
だからごめんなさい。
騙すつもりはなかったんです。
心の中で謝罪しながらも平然と男たちを見る。
男たちはというと私からの衝撃の発表に数秒ほど固まっていた。
そしてざわつき始めた。
「え、えー。ほ、本当に?お、男、ですか?」
「…見えない。美少年すぎない?よく女の子に間違われない?」
「俺は好きです」
三者三様の驚き方でそれぞれが私に話しかけてくる。
合ってます。
アナタたちの感性は合っているんです。
ただ、私が勝手に男だと言っているだけなんです。
「紅ちゃん…」
男たちの勢いに押されてか、怯えた様子の姫巫女が私の服の袖を遠慮がちに握る。
その姿はとても可憐で誰もが守りたくなるはずだ。
「あ、ご、ごめんなさい。怖かったですよね?でもただ本当2人とも可愛いからお話したかっただけで…」
「うんうん。本当、ごめんね」
「紅ちゃんって言うんだね…」
あー。みんな姫巫女の可愛らしさに目がハートになっているよ。
若干一名は私のことを見てるけど。
「とりあえず俺たちは2人じゃないし、この子も怖がっているんで…」
と、お誘いを丁寧にお断りしようとした。
しかしそれは叶わなかった。
男たちが私の言葉を遮って話始めたからだ。
「怖がらせたお詫びにご飯でも何でも奢ります」
「挽回させてほしいな」
「あの、紅ちゃん。連絡先交換できないかな?SNSとか…」
笑顔で丁寧だが、どこか強引な男たちにいよいよ嫌気が差す。
最後一名は何モジモジしてるんだって感じだが。



