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それから私たちは何となくこの4人で行動することになった。
最初こそは4人で海に浮かんでみたり、泳いでみたりといろいろな遊びをしていたが、いつの間にか姫巫女と蒼も合流していた。
シュノーケリングやSUPなど様々な遊びを遊び尽くした。
「はぁー、疲れたぁ」
私の横に座る姫巫女が笑顔で楽しそうにそう言う。
私と姫巫女は今、パラソルの下で2人で休んでいた。
琥珀と武と朱は私たちのご飯とか飲み物を買いに行き、蒼は先ほどまで姫巫女の隣にいたのだが、急に電話がかかってきた為、ここを離れていた。
ちなみに買い出しに行く時、朱は「絶対に兄さんから離れたくない」と買い出し断固拒否をしていたが、さすがに男子2人の力には勝てず強制的に連れて行かれていた。
「6人分の食べ物と飲み物を俺たち2人だけで持てるかぁ!」と武が朱に怒っていた。
「海、楽しいね」
にっこりと誰にでも平等に向ける女神のような笑顔を姫巫女が私に向ける。
私に嫌われているとその鋭さで自覚していながらもその笑顔を私に向けられるのだから本当に器がでかい人だと思う。
…嫌いだけどね。
「…はい、楽しいですね」
私は無表情ポーカーフェイスで姫巫女に頷いた。
「だよね!紅ちゃんは何が1番…」
「あの」
姫巫女が私にそこまで言ったところで姫巫女の声はどこからかやって来た私たちと同じくらいの男3人組によって遮られた。
うちの生徒ではない。
力の抜けていた右腕に自然と力が入る。
不審者、妖関係でこちらに害をなす者のであれば倒す対象だ。
「2人ですか?よかったらあっちで一緒に休みません?」
物腰の柔らかい言葉遣いで3人組の1人が海の家のベンチの方を指差す。
「あ、いや、2人じゃなくて…」
そんな男に姫巫女は遠慮がちに首を振った。
「2人じゃないんですか?他にお友だちがいる感じですか?」
「俺たち人数が増えた方が嬉しいけど」
「多い方が楽しいしね。2人の友だちならきっとかわいいし」
あれ?
3人の男たちと姫巫女の会話を聞いていて気づいたことがある。
もしかして男たち、私のこと女だと思ってる?



