「僕たちの特別なお方である姫巫女様に触れるだなんて恐れ多いですよ」

「ふ、触れていいよ！むしろ触れてもらいたいの…蒼くんに…」



にっこりと笑っている蒼に恥ずかしそうに視線を逸らしている姫巫女。



「…」



2人を見ている私が思っていることは一つだ。

他所でやってください。


まぁ、蒼なら姫巫女のことを思って頭ぽんぽんするんじゃないかな。
1度目の時はそうしていたし。



「…そう思っていただけて光栄です。ですが、触れられないんです。許してください」

「…蒼くん」



お互いが残念そうに微笑み合っている。
そんな2人を見て私は今度は首を傾げた。


あれ？触れないの？
そもそも敬語で話し続けてるのも違和感だな…。


1度目の蒼…いや、私以外の守護者は全員姫巫女と友達のように砕けた言葉遣いで話をしていた。

今の蒼の喋り方は側から見ても壁を感じる喋り方だ。



「姫巫女様、来週行われる歓迎会の着物は決まったんですか？」

「ううん。まだなの。いくつか候補はあるんだけど…」



チラチラと何かを伝えようと蒼を見つめる姫巫女の視線をニコニコしたまま蒼が受け取っている。


つまり一緒に選んで欲しいってことなんだろうけど、蒼は何も言おうとしない。
蒼のことだから姫巫女の要求に気づいていると思うけど。

わざと無視してない？