「紅ちゃんって意外と嘘が下手なんだね」
私の様子をさらにじっと見た後、姫巫女がどこかおかしそうに笑う。
そして…
「紅ちゃんの目はとっても正直だと思うよ」
と、言って再び私に背を向けて歩き出した。
「…」
ポーカーフェイスは得意だ。
あまり人に感情を読ませない自信はある。
それなのに姫巫女は私の目だけで私の感情を読み取ったのか。
姫巫女パワーなのか、この子自体がすごいのか。
わからないけど、ちょっと怖いわ。
「紅」
気まずい雰囲気のまま姫巫女と歩いていると、向こう側から現れた蒼が私の名前を呼んだ。
「姫巫女様、こんばんは」
「こんばんは!蒼くん!」
蒼がいつもの胡散臭い笑顔で姫巫女に頭を下げる。
すると姫巫女の声は一気に明るくなった。
さずが姫巫女のお気に入りだ。
タイミングも良すぎ、助かった。
「紅、護衛お疲れ様」
「蒼こそお疲れ様」
私たちに近づいてきた蒼が私の頭に触れる。
そしてそのままぽんぽんと私の頭を軽く叩いた。
いつものことなので特には気にならないが、姫巫女はこれがとても気になったようで。
「私も!私も蒼くんからぽんぽんされたい!」
と、上目遣いで蒼にお願いをしていた。



