だって仕方ないではないか。
姫巫女はいわば私たち能力者や人間にとっての宝。
宝は丁重に扱うものだとずっと教えられてきたのに、そんな宝に急に砕けた態度なんて取れるはずがないだろう。
「あーあ。もっと紅ちゃんと仲良くなりたいな。唯一の同性…あ、ごめん」
こいつさっき注意したばかりなのにまた私を女扱いしようとしたな!?
天然なのか!?
「今度から気をつけてください。絶対に」
「はーい」
反省したように下を向く姫巫女を見て思う。
本当に反省しているのかと。
毎回忘れて毎回同性扱いだからなぁ。
「でも正直さ、今の状況ってかなり変だと思わない?」
「え?」
急に何?
「紅ちゃんにだって可愛くなる権利があるのにどうしてこんなにも紅ちゃんは男の子でいないといけないの?おかしいでしょ?」
「…っ」
純粋に悪気なく、姫巫女は不思議そうに私を見つめている。
姫巫女の考え方こそが多分普通なんだろう。
1度目の時も同じことを同じように姫巫女に言われた。
そして私は激しく動揺したのと同時に怒りを覚えた。
あの頃の私は女を捨てて男であることに誇りを持っていたからだ。
そんな私という存在を何も知らずに否定する姫巫女が許せなかった。



