姫巫女は私たちと同じ寮に住んでいる。
他の生徒たちとは違い、次期当主件守護者の私たちと同じようにとてもいい部屋が姫巫女には用意されていて、広いお風呂までついている。
でも今日の姫巫女はもっと広く大きなお風呂に入りたかったようで、寮の大浴場に向かっていた。
もちろん姫巫女がこれから入浴する為、本日の大浴場は姫巫女の貸切、他の生徒は誰1人として使えない。
「私たちさ、同じ女の子同士じゃん?やっぱり温泉に入るなら女の子の友達と入りたいし、紅ちゃんといっぱいお話とかしたいの」
「…俺の性別についてはトップシークレットです。誰が聞いているかわからない場所では言わないでください」
「むぅ。紅ちゃんって本当に真面目だよね?私、紅ちゃんに怒られてばかりだなぁ。まぁ、迂闊だった私が悪いし謝るけど」
「…怒っているつもりはありませんでした。無礼をお許しください」
「…」
丁寧に、だけど機械的に謝る私の方へ突然姫巫女が振り返る。
それからじーっと真顔で私の顔を見つめた。
「壁感じる。敬語はやめてよ」
「何度も言っていますが、立場上無理です」
「…紅ちゃんと朱くんって本当にそっくりだよね。いつも同じことを朱くんにも言われるもん」
「そうですか…」
姫巫女の不満げな視線が痛い。



