相変わらず恐ろしいが、どこか綺麗で目が離せない。
「…紅」
龍が私の頬に恐る恐る触れる。
「…暖かい」
「まあ、生きているからね」
「そう、だな」
龍が眉間に皺を寄せている。
そして私の生をしっかり感じようと今度は両手で私の顔を優しく包み込んだ。
「…」
私はなされるがままだ。
でも抵抗しようだなんてこれっぽっちも思わなかった。
龍は1度目で私の最期を見ている。
生きている私にやっと触れられるのだから私が生きていることを噛み締めたいだろう。
「…悪かった」
龍の弱々しい声が耳に届くと共に龍が私を今度は抱き寄せる。
辛かった想いがひしひしと伝わってくる。
「あのー。感動の再会はそこまでにしてもらっても?」
龍に抱きしめられたところで今度は木の影から呆れたような暁人の声が聞こえてきた。
「…邪魔をするな」
「もう十分紅のことは感じられたでしょう?ここにいる私の身にもなってください」
「知るか」
「はぁ、相変わらずの暴君ですねぇ。紅も何とか言ってください」
呆れたように笑っている暁人を龍が睨んでいる。
そんな2人の様子を見ていると、暁人は私に話を振ってきた。
「私に言わないでよ」
「チッ。役立たずの人間が」
「聞こえてますけど?」
「あー。これは失礼」
本当に暁人は人間が嫌いだな。
表裏も激しすぎるし。



