「紅!返事をして!」
蒼の珍しく必死そうな声と共に強力な風の能力がびゅーびゅーと炎の周りに風を吹かせる。
何とか風の力で炎を消したいようだが、そうはさせまいと私は炎の力を強めた。
「こんのバカ野郎!何考えてんだ!」
武の怒っている声も聞こえる。
そしてこれまた強力な水の能力で炎の上から大量の水が降らされかけた。
もちろんこちらも私の炎の力を最大限に強めて、炎が消えないようにした。
「紅!くそ!」
琥珀の悔しそうな声も聞こえ、いよいよ申し訳なくなってきた。
多分、今、私はみんなの中で見事に燃えているから。
さっさと終わらせないとね。
「妖さん。言葉は通じるかな?」
「あぁ、うゔっ」
熱さと縛られていることに弱り出している妖に私は笑顔で質問する。
すると妖は小さくうめき声をあげた。
喋れないけど意思疎通はできるタイプの妖のようだ。
本当に弱い妖の典型だ。
妖は弱ければ弱いほど獣のようになる傾向がある。
「ここで本当に焼き殺されたい?焼き殺されたくなかったらさっさと逃げな?」
伺うように妖を見てみるが、妖の瞳から殺意が聞こえることはない。
おそらく武の能力から解放されたらそのボロボロの体に鞭打ってでも私を殺しに来るだけろう。
あんまり殺したくなかったが仕方ない。
やらなければやられる。
「それじゃあせめて安らかに死んでね」
「ゔっ!」
私はそう言うと最大火力の炎を出して、全力で妖の頭を燃やし、灰にした。



