「ねぇ、龍」
そんな龍をまじまじと見つめながら、私は真剣な表情で口を開く。
「この世界は美しいね。私、この世界の美しさをずっと守っていきたい。その為にはきっと妖と人間の共存は必要なことだと思うんだ。だから…」
「この世界が美しいことも、その美しさを守りたいことも頷ける。だが、その美しさを壊すのはいつも人間だ。そんな奴らと共存?笑えるな」
何とか龍の説得を試みようとしたが、それを龍はただおかしそうに鼻で笑う。
毎度のことだが、全く聞く耳を持ってくれない。
「…龍が人間嫌いなのもわかるよ。でも龍が嫌いなのは妖を敵対視している人間だよ。みんながみんな妖を敵対視している訳じゃない。きっとお互いのことを知れば歩み寄れるはずだよ」
「俺は逆に俺たちを敵対視していない人間なんて見たことがないがな。それにアイツらはお前を殺した。それだけでもう十分、敵対する理由があるだろう」
「それは1度目の、しかも歪んでしまったシナリオの結果だよ。シナリオが歪まなかったら私は死ななかった」
何を言っても龍の表情は冷たいまま。
私はたった数十年しか生きていないが、龍は違う。
もう何千年と生きてきた大厄災なのだ。私よりももっと人間の醜さを目の当たりにしてきたことだろう。
そんな龍をどう説得したらいいのかわからない。



