「わぁ…」
山頂には開けた場所があり、私はそこから見える景色に感嘆の声を上げた。
私たちが登った山の周りもまた山で、その山々たちはどの山ももみじやイチョウによって美しく染め上げられており、自然の美しさと雄大さを感じさせる景色がここにはずっと広がっている。
「すごい…。綺麗だね」
あまりの美しさになかなか言葉が出てこない。
私はここに来るまでこの場所のことを知らなかった。
1度目も含めて私は初めて龍にここへ連れて来られたのだ。
「いつかお前を連れて来たいと思っていた場所だ。この時期のここの景色は何よりも美しいからな」
私の横からいつにも増して優しい龍の声が聞こえる。
龍の表情が気になって、龍の方へと視線を移すと、そこにはこの景色を満足そうに見つめる龍の姿があった。
紅葉を背に遠くを見つめる龍はどこか神秘的だ。
人間にはあまりないグレーの長髪と涼しげな金色の瞳と整った顔立ちがその神秘さを引き出しているのだろう。



