『対策ができたって言っても朱に対して対策なんて立てなくてよくない?シナリオの歪みの原因は姫巫女なんだし、注意すべきは姫巫女でしょう?』
『大元はそうですね。ですが私は言いましたよね?この世界が滅んでしまったのはアナタが死んだことに絶望した誰かがしたことだと』
『…待って。その誰かって』
『ここまで言えばわかりますね。そうです。朱なんですよ。彼はアナタが死んだことに絶望しておおよそ人間では辿り着けない境地に至り、人間の限界を超えることに成功しました。そしてその絶大な力で世界を炎の海にしてしまったのです』
『…っ』
まさか朱が私の死に絶望して世界を滅ぼしてしまっていたとは。
だが、そう言われると色々と腑に落ちてしまう。
あんなに強かったのは1度目で世界を炎の海にするほどの力を得ていたからだ。
そしてあの危うさもきっとずっと前からのものだったのだ。世界を炎の海にしてしまう朱が正常だとは思えない。
もし、朱が2度目だとわかっていれば朱への対応も変わっていただろう。
『これは油断をしていた私に落ち度があります。もっと可能性を考えて慎重に行動するべきでした。今回のことはシナリオには残念ながらありませんでしたが、アナタが監禁されたことによってシナリオが書き換えられました』
『…私はどうなるの。ここから出る方法は?』
『このままでは残念ながらアナタはそこから一生出られません』
『…』
薄々感じていたことをハッキリと神様に言われて私は言葉を失う。
まさかの一生監禁コースが大決定してしまった。
死にたくないが自由は欲しい。
『安心してください。アナタには私、神が付いています。アナタをここから逃がしましょう』
『どうやって?神様はこっちの世界に干渉できないんだよね?』
『ええ。ですが、このように話しかけることならできます。ここからアナタを出すことができ、その後も保護できる力のある者にアナタを任せるつもりです』
『それって…』
『大厄災、龍です』
私の頭に浮かんできた人物と同じ人物の名前を神様が口にする。



