「僕が次期当主になった暁には姉さんをお世話するって言ったでしょ?だからお世話しているんだよ。姉さんは大切な存在だから。全部僕にお世話されないといけないんだよ?」
「は、はい?」
仄暗い瞳で私を見る朱に冷や汗をかく。
しゅ、朱の過保護が限界突破してしまっている。私が死んだせいで。
「あ、あのね?朱?百歩譲って私の安全の為にここにいるのはわかるよ?でもご飯を食べさせるのは私の安全全く関係ないよね?やる必要ないよね?」
「…ないけど姉さんは大事にされるべき存在だから。今まで苦労してきた分、労いたいんだよ」
うるうると大きな瞳を潤ませて、朱が私を上目遣いで見つめる。
子犬のように愛らしく見つめられて私の心臓は不整脈を起こした。ぶっ倒れそうだ。
私はこの朱にめっぽう弱いのだ。
これをされるとどうしてもいいよ、と言ってしまう。
「…わかったよ。ただし恥ずかしいから今日だけね」
「うん。わかったよ、姉さん」
恥ずかしがりながらも口を開けると朱は嬉しそうにハンバーグを私の口に運んだ。
ああ、もう。我ながら朱に弱すぎる。



